怖かったのは「見られること」
家族と同じ家に住んでいて、仕事は人の目が気になる職場。最初の相談で本人が何度も書いていたのは、痛みのことではなく「誰かに知られたらどうしよう」でした。
スマホを家族の前で開くこともある。通知が出たら見られるかもしれない。帰りが遅くなれば理由を聞かれる。待ち合わせで知り合いに会うかもしれない。心配は具体的で、どれももっともです。
連絡の決めごと
そこで、会う話をする前に、連絡の約束を決めています。
りょうからは夜9時以降に送らない。通知に本文が出ない設定にしてもらう。トーク画面の名前は、本人が分かる別の名前に変えてもらう。返信がしばらく途切れても、こちらから催促はしない。
本人からは「ここまで聞いてくれると思わなかった」と返ってきました。それまで探していたところでは、こういう話をする場がなかったそうです。
待ち合わせで目立たない
知り合いに会う心配には、待ち合わせのやり方で応えています。場所は、本人の生活圏から離れた駅。こちらから声をかけるので、本人は人を探してきょろきょろする必要がありません。服装の目印だけ、前の日に一つ教えてもらいました。
外で長く立ち話はしません。人目が気になる時間は、短いほうがいいからです。
帰る時間から逆算する
日程は、家族に伝えている予定に合わせて決めました。平日の昼、買い物に出ていることになっている時間です。終わりの時刻を最初に決めて、そこから待ち合わせの時間を逆算しています。
相談場所の候補と、だいたいの金額は前もって伝えています。相談場所の費用は、りょうとご利用者で半分ずつです。当日になって金額が変わることはありません。
当日、部屋に入って最初に確かめたのも時間でした。「何時にここを出れば間に合いますか」。答えを聞いてから、ようやく本人の肩が下がったように見えました。
終わったあと、すべて消す
予定どおりの時間に終わり、本人は家族に伝えていた時刻に帰っています。
1週間後、「やり取りを全部消してもらえますか」と連絡がありました。りょう側のトーク履歴を削除し、それ以降こちらから連絡はしていません。最後のメッセージは「これで全部終わりにできます」でした。
秘密の守り方は、先に聞いていい
連絡の時間、通知、待ち合わせ、帰る時間、削除。どれも申し込む前に聞いてかまわないことです。ここをはっきり答えられない相手なら、会う前にやめておいたほうが安全です。