送れたのは、一行だけ

「処女のことで相談したいです。」最初に届いたのは、この一行でした。名前も年齢もありません。

あとで聞くと、長い文章を何度も書いては消して、最後に残ったのがこれだったそうです。送信してから返信が来るまで、スマホを裏返して机に置いていた、とも話していました。

返信で聞いたのは三つだけ

りょうの返信は短くしています。連絡をくれたことへのお礼と、答えられる範囲で教えてほしいことが三つ。20歳以上かどうか。いちばん気になっていること。今回は相談だけにしたいか。三つ目には、相談だけで終わっても大丈夫です、と書き添えました。

返ってきたのは「21歳です。全部が怖いです」という返事でした。

「全部」のままでは、何から話せばいいか分かりません。そこで、怖いものを一つずつ書き出してもらいました。痛み。相手が知らない男性であること。ホテルに入ること。家族に知られること。並べてみると、いちばん大きかったのは痛みではありませんでした。「何をされるのか分からない」ことです。

分からないことを、先に全部書く

それなら、と当日の流れを最初から最後まで文章で送っています。待ち合わせから部屋に入るまでのこと。部屋ではまず話す時間を取ること。やめたくなったときの合図を決めておくこと。避妊は必須であること。撮影はしないこと。費用は、相談料もサポート料も0円で、相談場所の費用はりょうとご利用者で半分ずつ出しあうこと。

家族に知られる心配には、連絡の時間帯を本人に合わせることと、終わったあとに希望があればやり取りを削除できることを伝えました。

読んだあと、質問が少しずつ増えていきました。「服は何を着ていけばいいですか」「生理と重なったらどうなりますか」。最初の一行からは想像できないくらい具体的です。服装に決まりはなく、生理と重なりそうなら日程をずらせばよく、キャンセル料もかかりません。そう答えると、「それなら決められそうです」と返ってきました。

前の日の夜

日程を決めたのは、やり取りを始めて1か月ほどたったころです。

前の日の夜、メッセージが一通届きました。「明日、会ってからやめてもいいんですよね」。もちろんです、とだけ返しています。説明を足すより、短く答えたほうが伝わることもあります。

当日

部屋に入ってからも、すぐには進めていません。年齢の確認を済ませたあと、文章で送った流れを、もう一度口で確かめています。やめたいときの合図は、言葉ではなく肩を軽くたたくことにしました。声に出すのが恥ずかしい、という本人の希望です。

話している間、本人はほとんど目を合わせませんでした。それでかまいません。質問に答えるときだけ、少し顔を上げる。そのくらいの距離で、1時間近く話しています。

合図は一度も使われませんでした。帰りに届いたLINEには「使わなかったけど、あるって分かってたから大丈夫だった」とありました。

一行でも、送っていい

うまく説明できないから相談できない、という人は少なくありません。一行でも届けば、そこから先は質問しながら一緒に整理できます。文章の上手さで、相談の受け方が変わることはありません。